・ハングルの生みの親ってどんな人物だったの?
・なぜ3代王・太宗の三男なのに王位に就けたの?長男や次男はどうしたの?
・他にはどんな功績を残したの?
こんな声に答えていくよ!
民族の文字ハングルを発明し、朝鮮の黄金期を築き上げた偉大な王・世宗。
彼は光化門広場の銅像や韓国紙幣(10,000ウォン札)となり、今なお民族の誇りとして最大の敬意を集めています。
そんな世宗は、いかにして先王の三男という立場から王座にまで上り詰めたのでしょうか。
そこで今回は、「【朝鮮王朝4代】世宗(イド)|ハングルの生みの親、偉業を成し遂げた王」と題し、王座に就くようになった経緯や彼の偉大な功績について詳しくご紹介していきます。
世宗(セジョン)/李祹(イ・ド)のプロフィール
姓名 | 李祹(イ・ド) |
生没年 | 1397年5月7日〜1450年5月18日 |
在位期間 | 1418年〜1450年 |
親族 | 父:第3代王・太宗 母:彰徳昭烈元敬王后(驪興閔氏) 妻:宣仁斉聖昭憲王后(青松沈氏)、他 息子:第5代王・文宗(ムンジョン)、第7代王・世祖(セジョ)他 |
略年表
1397年 | 朝鮮王朝第3代王・太宗と元敬王后の三男として誕生する。 |
1408年 | 昭憲王后沈氏と結婚する。 |
1418年 | 長兄の譲寧大君(ヤンニョンデグン)が廃世子され、自らが世子となる。 |
1422年 | 太宗が亡くなり、親政を開始する。 |
1436年 | 田税制度を定めるべく、貢法詳定所を設置する。 |
1437年 | 六曹直啓制(ユクチョチクケジェ)を議政府署事制(ウィジョンブソサジェ)に変更する。 |
1443年 | 訓民正音(=ハングル)を創る。 |
1450年 | 54歳で亡くなる。 |
史実では
三男だった世宗が王になれたのは、太宗の長男・譲寧大君が問題行動で廃世子とされたためだが、譲寧大君の息子や次男の孝寧大君(ヒョリョンテグン)ではなく世宗が選ばれたのは、当時すでに世宗の天才的才能が際立っていたからだろう。
世宗は世子に冊封後、わずか2ヶ月で即位し、最初の4年は太宗が上王として君臨した。
世宗は太宗に逆らうことができず、太宗が世宗の義父・沈温(シムオン)を王権の脅威として粛清する時も止められなかった。
しかし1422年、太宗が死去し世宗の親政が始まると、驚くばかりの政治手腕を発揮。
自らが学術研究機関として再生させた集賢殿(チピョンジョン)の学者たちを中心に、科学、農業など各種分野の研究を進める一方、租税、刑法など諸制度を整備。
北方の国境地域に六つの鎮と四つの郡を設置して新たな国土を開拓し、太宗がつくり上げた王権中心の政治体制である六曹直啓制を議政府署事制に改編して、王権と臣権の調和を実現した。引用:韓国時代劇で学ぶ人物大辞典
こうして朝鮮は黄金期を迎え、世宗は民族の誇りとして現在も最大の尊敬を集めている。
兄である譲寧大君が廃世子になった経緯は、この記事をチェックしてみてね!
分かりやすく解説
僕この人知ってるよ。ソウルの光化門広場に銅像があったよ!
よく気づいたわね。あと韓国の紙幣の10,000ウォン札に印刷されている人でもあるのよ。
お札になるなんて、よっぽどすごいことをしたんだね!
歴代27人の王の中で最も有名と言っても過言ではないわ。彼はハングルを創って広く国民に文字を普及させただけでなく、身分に関係なく優秀な人材を起用することで測量器の開発や印刷技術、火器や火薬の製造など技術的にも国を大きく発展させたのよ。
自分の代だけで、そんなにも偉業を成し遂げたんだね!すごいな。
そうよ。広場にあった台座の下に「세종대왕 (世宗大王)」って書いてあったの覚えてる?“大王”っていう称号は優れた王にだけ与えられるものなの。
そうなんだ!それで今もお札になるほどみんなに尊敬されているんだね。
ハングルはどのようにして創られた?
ハングルが創られる前の朝鮮は、話し言葉をそのまま記録することができず毎回、漢文にして記録しなければなりませんでした。そのため、漢文法を知らない庶民には敷居が高く、読み書きのできない人が大半を占めていました。
これを危惧した世宗が国家事業としてハングルを発明。
ちなみに、ハングルの起源はフビライハンがチベット僧に命じて作らせたパスパ文字の影響を受けたという説があります。パスパ文字は母音と子音を組み合わせたもので、字形も音節単位で一つにまとまる点もハングルに似ています。
世宗(セジョン)/李祹(イ・ド)の主な偉業
1、文字創製
数ある業績の中でも最も重要なのが文字創製!当時の朝鮮で最高の知識人とされた鄭麟趾(チョンインジ)ら集賢殿の若者らで創られました。
2、自撃濡(チャギョンヌ)
水時計の一種で、時間になると自動で人形が動き出し時報を鳴らしました。朝鮮王朝末期まで用いられ、徳寿宮(トクスグン)に現存しています。
3、簡儀(カニ)
中国由来の天体観測器。大小さまざまなものが作られ、景福宮(キョンボックン)・慶会楼(キョンフェル)などあちこちに設置されています。
4、日星定時儀(イルソンチョンシイ)
昼と夜にそれぞれ時刻を測定するために作られた器具。昼は太陽を観測して時間を計り、夜は星を頼りにしていました。1437年に計4つが作られましたが、実物は現存していません。
5、測雨器(チュグギ)
降雨量を測るための器具。朝鮮は古くから洪水が多く王都・漢城は5年に二度のペースで水害に見舞われていました。それまで天候は神任せでしたが、測雨器のおかげで初めて雨量の測定と分析が可能になりました。降雨量を観測した記録としては世界最古といわれています。
6、仰釜日晷(アンブイルグ)
日時計の一種で針と影で時を示します。さまざまな大きさのものがありますが、基本的には直径30〜40センチの球状にくぼんだ釜のような形をしています。くぼみの内側に節候線、時刻線などの線が記されていて時刻や立春、立冬などの節気がわかるようになっています。
自撃濡や測雨器、仰釜日晷など世宗の功績に大きく貢献した科学者・チャン・ヨンシルについて詳しく知りたい人は、次の記事も合わせて読んでみてね!
世宗(セジョン)/李祹(イ・ド)のドラマ作品
作品名(ドラマ) | 役者名 |
大王世宗(08) | キム・サンギョン/子役:イ・ヒョヌ |
根の深い木ー世宗大王の誓いー(11) | ハン・ソッキュ/青年期:ソン・ジュンギ |
六龍が飛ぶ(15) | ナム・ダルム |
ポンダンポンダン 王様の恋(15) | ユン・ドゥジュン |
チャン・ヨンシル〜朝鮮伝説の科学者〜(16) | キム・サンギョン |
世宗のドラマといえば、彼の生涯を真正面から取り上げた『大王世宗』は欠かせないわね。ちなみにこのドラマで世宗を演じたキム・サンギョンは、太宗役のキム・ヨンチョルとともに『チャン・ヨンシル』にも登場するのよ!
ドラマを超えて同じ役で登場するのは嬉しいね!
『根の深い木』ではハングル創製の過程と葛藤を描いていて、口汚く罵ったり、部下をからかう聖君らしからぬ世宗の一面が見られるわ。