・燕山君を王の座から降ろすクーデターはどうやって成功したの?
・中宗はどんな性格だったの?
・中宗に関連する重要人物は?
こんな声に答えていくよ!
燕山君の暴政に痺れを切らした臣下らによって王の座へ担ぎ上げられた中宗。
38年2ヶ月という長期にわたって在位するも、“最も優柔不断な王”と呼ばれ思うような業績が残せなかった彼の人柄、生涯とは一体どのようなものだったのでしょうか。
そこで今回は、「【朝鮮王朝11代】中宗(イヨク)|激化する党争の間で揺れ動いた王」と題しクーデターの舞台裏や中宗の性格にも触れ詳しくご紹介していきます。
中宗(チュンジョン)/李懌(イ・ヨク)のプロフィール
姓名 | 李懌(イ・ヨク) |
生没年 | 1488年4月16日〜1544年11月29日 |
親族 | 父:第9代王・成宗 母:貞顕王后 妻:端敬王后(慎氏)、章敬王后(尹氏)、文定王后(尹氏) 、他 息子:第12代王・仁宗(インジョン)、第13代王・明宗(ミョンジョン)、他 |
ちなみに、妻の端敬王后はドラマ『七日の王妃』でパク・ミニョンが演じたことで話題になった女性で、文定王后は“裏の三大悪女”と言われている女性よ。気になる人は併せてチェックしてみてね!
略年表
1488年 | 9代王・成宗と貞顕王后尹氏の間に生まれる。 |
1494年 | 晋城大君(チンソンデグン)に冊封される。 |
1506年 | 中宗反正により朝鮮第11代王として即位する。 |
1510年 | 日本人居住区の三浦で反乱が起こる。 |
1515年 | 趙光祖(チョ・グァンジョ)を登用する。 |
1519年 | 己卯士禍(キミョサファ)で趙光祖が粛清される。 |
1524年 | 重臣の金安老(キム・アルロ)が配流に処される。 |
1544年 | 57歳で亡くなる。 |
豆知識①中宗反正(チュンジョンパンジョン)とは
10代王・燕山君の暴政に痺れを切らした臣下が、中宗の側近であった朴元宗(パク・ウォンジョン)らとともに燕山君を王座から引きずり下ろし、中宗を王へと担ぎ上げるために起こした宮廷内クーデターのこと。ここで言う反正は「間違いを正す」という意味。
豆知識②己卯士禍(キミョサファ)とは
士林派のリーダー的存在であった趙光祖(チョ・グァンジョ)を中心とする急進的な若手官僚が、保守的な勲旧派からの反発によって失脚させられた事件。
史実では
成宗と貞顕王后の間に生まれ、腹違いの兄・燕山君とは12歳違いで、幼少期は兄やその支援者に目を付けられないよう、常に息を潜めて暮らしていた。
1506年、朴元宗らが起こしたクーデターで擁立され、19歳で即位。
燕山君が臣下の手によって追放される様を目の当たりにしたため何よりも臣下を恐れ、特定の臣下に権力を与えることで王権を維持する方法を取る。
朴元宗、趙光祖、南袞、金安老らがその役割を担い、手に負えなくなると次の人物の手で粛清させ新たな人物を登用したため、そのたびに多くの犠牲者が出た。
性格は真面目でぜいたくもせず、国政にも関心を持ち、さまざまな分野に力を注いだが、国家経営に対する信念に欠け、目立った成果は挙げられなかった。このため、“最も優柔不断な王”とも言われる。
1510年には、南部の三浦という日本人居住区で反乱が起き、女真族や倭寇が相次いで侵攻するなど外敵にも悩まされた。引用:韓国時代劇で学ぶ人物大辞典
中宗の治世は、不安定な情勢、不安定な政局の中での38年間だった。
分かりやすく解説
中宗は、第9代王・成宗の次男で、第10代王・燕山君の腹違いの弟よ。宮廷クーデターによって燕山君が廃位されたことで、18歳で王の座に就くことになったの。即位後は、儒教の概念を「郷約(ヒャンヤク)」という規則にして全国の農民に広めたり、クーデターによって擁立された自身の王権の弱さを打開するために、燕山君によって弾圧された士林派(サリムパ)を引き入れて革新を図ったの。
それで上手く行ったの?
いいえ。勲旧派(フングパ)の反発にあって政局は混乱したの。それだけじゃなく、朝鮮半島南部に住んでいた日本人の交通を制限したことから反乱が起こったり、中国の先住民族“女真族”の侵入なんかも中宗を悩ませたそうよ。
混乱の中を生き抜いた王だったんだね。
38年2ヶ月と長きに渡って王位に就いていたけど、内外の勢力に振り回されて思うように功績が残せず「最も優柔不断な王」とも言われているの。55歳で長男の仁宗(インジョン)に譲位して、翌年に亡くなっているわ。
中宗反正のクーデターはどのようにして成功したのか
稀代の暴君と言われた燕山君を臣下たちはどうやって王の座から引きずり下ろしたの?
中宗擁立に賛成した軍が、朴元宗らの指示で深夜0時に宮殿の前まで進軍して陣を張ったの。その噂を聞きつけた燕山君の側近らは次々と宮殿から逃げ出したそうよ。
側近たちも燕山君の暴挙に耐えきれず、王を守ことに徹するんじゃなくて逃げを選んだんだね。
そうね。そして、夜が明け宮殿の門が開くと軍はまず貞顕王后(中宗の母)に燕山君の追放と中宗の即位を承諾させて、命令書をもらったの。それを中宗に承諾してもらって、燕山君のところに攻め入りあっという間にお縄、ってわけ。
側近たちも逃げ出して、誰も自分を守ってくれる人がいない中、大勢の軍を目の前に太刀打ちできなかったんだね。
稀代の暴君も、結局は自分一人では何もできなかったってことね。
中宗(チュンジョン)/李懌(イ・ヨク)のドラマ作品
ドラマ名 | 役者名 |
『王朝の暁〜趙光祖伝〜』(96) | イ・ジヌ |
『女人天下』(01〜02) | チェ・ジョンファン |
『宮廷女官 チャングムの誓い』(03〜04) | イム・ホ |
『ファン・ジニ』(06) | パク・チャンファン |
『天命』(13) | チェ・イルファ |
『オクニョ 運命の女』(16) | キム・ボムレ |
『師任堂、色の日記』(17) | チェ・ジョンファン |
『七日の王妃』(17) | ヨン・ウジン |
38年と長い在位期間だったから、ドラマに登場する回数も多い中宗だけど『七日の王妃』では、初めて主人公として登場したわ!これまで描かれなかった晋城大君時代から始まり、復習のために燕山君から王位を奪うだけでなく、一人の女性を燕山君と取り合う切ないラブストーリーとなっているわ!