・儒教ってそもそもどんな思想なの?
・一国を支配するほどのものだったの?
・祭祀(チェサ)って何?ルールや流れが知りたい!

こんな疑問に答えていくよ!
朝鮮王朝において、儒教は全ての物事の根幹や思想の中心となっていました。
朝鮮王朝を語ることは、儒教を語ることとまで言われる儒教について今回は学んでいきましょう。
そして、朝鮮から現在もなお続く「祭祀」について一緒に見ていきましょう。
朝鮮王朝は「儒教」そのもの!?





儒教は孔子の教えを核として、それを受け継ぐ儒者たちが体系化した社会法則なんだって。そもそも儒教は4世紀頃に仏教とともに漢から入ってきて、新羅・高麗時代までは仏教と共存していたそうよ。でも、朝鮮王朝時代になると仏教を排除して、儒教(朱子学)を国家理念に据えるようになったの。



なんで、朝鮮時代には仏教を排除するようになったの?



良い質問ね。それは、開国の祖である李成桂(太祖)が儒教の唱える王道政治(徳による政治)を実現しようとしていたことと、高麗時代に仏教が権力と癒着して堕落したからなんだって。



ふ〜ん、そうだったんだ。



儒教による王道政治には「修己治人(しゅうこちじん)」っていう原則があるんだけど、これは己を修練して「徳」を備えた人が国を納めるという意味があるそうよ。



なるほどね。朝鮮は開国以来、儒教の王道政治を目指して政治を行なってきたから朝鮮王朝=儒教って言われるんだね。
王権制を維持するための序列と形式



朝鮮王朝が518年の長期にわたって絶対権力を持った王による中央集権体制が維持できたのは、序列と形式をうまく操作したからだ、って言われているわ。



序列と形式って何?



序列は、上下関係や貴賤といった身分の違いを明らかにしたもので、形式は、それら序列を正しく実践することを指すわ。



親や身分の高い人を敬い、忠実に実践するっていうことだね。現代の韓国ドラマを見ていても通づるところがあるね。
儒教の一思想に固執したがための弊害



実は、儒教原則には「修己治人」とともに「経世済民(けいせいさいみん)」という経済に重きを置く思想があったんだけど、統治・支配権強化を目指す過程でこっちは軽んじられてきたの。



いかに「徳」で国を治めるか、ということに集中していたかが分かるね。その結果どうなったの?



経済面での発展に伸び悩んだそうよ。それは「崇文軽部(すうぶんけいぶ)」という文を尊んで、武を卑しむ国風にあったともされているわ。
国際関係から見る朝鮮の序列意識



朝鮮の序列意識が最も顕著にうかがえるのが中国を中心とした国際関係だそうよ。当時朝鮮は、中華文明の受容度で相手国を華(文明国)と夷(野蛮国)に分ていたの。朝鮮は、上国・中国に次ぐ文明国で、日本や満州、モンゴルなどは文明度が低い国として軽んじていたわ。



なんだそれ!もしかしたら独自のその地域にあった文明が発展しているかもしれないのにね。朝鮮は中国を師として仰いでいたんだね。



ええ。でもその結果、日本や清に侵略されて敗北を味わうことになるんだけどね。それでも、武力を行使しなかった自らの精神的優位を誇ったそうよ。



思想が与える人や国への影響ってすごいね。
祭祀(チェサ)ってなに?





祭祀っていう言葉自体はおそらく初めて聞いた人も多いと思うんだけど、ドラマを通して一度は目にしたことがあるんじゃないかしら?



この絵みたいなシーンよく見るよ!ご先祖様を敬う時にする行事だよね!



そうよ。祭祀は先祖を崇める儒教式の儀式で現世の幸せを願うものなの。今もなお続く伝統的な行事の一つになっているわ。正確に言うと法事なんだけどね。大きく分けると4代前の祖先までを祀る家祭(カジェ)と、5代前以前の祖先を祀る墓祭(ミョジェ)があるそうよ。
祭祀の種類について





祭祀っていろんな種類があったんだね!



そうよ。祭祀は本家の長男が指揮をとって、親族たちが集まるの。儀礼そのものは原則として男性のみで行われて、女性たちは供物の料理の準備などを行うそうよ。
祭祀の流れ



手順は香を焚き、拝をして、酒を献じるという形式で行われるんだけど、手順が事細かに決められているの。祖先に備える料理にも決まりがあって、配列や料理法なども家ごとに厳密な決まりがあるそうよ。



ひえ〜。お嫁さんに来たら大変だね。



本当よね。祭祀の後にはみんなで供物を食べるんだけど、これを飲福(ウムボク)って言うの。祖先と一緒のものを食べることで、祖先との一体感を感じるためだそうよ。



ふ〜ん。実際に今もこんなに複雑な法事がみんなのお家で普通に行われているの?



伝統的な祭祀は都市化や産業化に伴って、回数を減らしたり簡素化されたりもしてるみたいなんだけど、それでも8〜9割の家庭で今でも行っているそうよ!