【朝鮮王朝】女官の階級や地位、仕事に密着!独身を貫き王宮に使えた一生

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・『女官』っていう言葉をよく聞くけど、実際よく分かってない
・色々な難しい職名や地位が出てきてついていけない
・女官の生活や暮らしぶり、仕事が気になる

韓国時代劇ドラマで必ずと言っていいほど登場する『女官』。

幼い頃から独身を貫き王宮に仕えた彼女たちはどのような一生を送ったのでしょうか。

朝鮮王朝時代に欠かせない『女官』の実態を学んで、女性視点で歴史を紐解いていきましょう。

なつき

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目次

【朝鮮王朝】女官ってどんな人たち?

なつき

女官っていうのは、王様やその家族の私生活を助ける女性のことよ。朝鮮王朝時代には、500~600人ほどいたらしいわ。

はると

ふーん、そうなんだ。女官っていわゆる職業のことだよね?いつの時代からあるの?

なつき

本格的な女官制度が朝鮮に導入されたのは高麗王朝からだよ。また、第8代顕宗(ヒョンジョン)の時に、尚宮(サングン)、尚寝(サンチム)、尚食(サムシク)などの職名が決まったんだって。

なつき

ちなみに、『女官』自体は『三国史記』の記録などを見ると、古代から存在していたらしいわよ。

はると

結構古くから女官って存在したんだね…

【朝鮮王朝】王妃にまでなれる女官の出世コース【身分制度】

はると

女官はどういった女性がなっていたの?

なつき

女官に選ばれた女性は賎民や早くに両親を亡くしたものが多かったそうよ。4〜5歳で王宮に入ってから15年すると冠礼を行い、正式な内人になるの。

はると

ごめん、『内人』ってなんだっけ?

なつき

『内人』はいわゆる位のことで、女官は基本的に大きく内人と尚宮に分けられるのよ。みんな位や待遇の良い尚宮になりたくて頑張っていたみたい。

豆知識①冠礼
内人の冠礼では、婚礼服を着て、王様たちに拝礼したんだよ。この衣装には、男性ではなく王宮と結婚するという意味があったそうよ。

はると

女官はみんな尚宮になることを憧れてるんだね。あっそうだ、尚宮にはどうやったらなれるの?

なつき

良い質問ね!一般的には年数で決まっていて、内人から更に15年経つと尚宮になれるわ。尚宮にもなると婢女(ビニョ)や針母(チムモ)といった、いわゆる付き人を一人ずつ置くこともできるのよ。

はると

えっ付き人も!?やっぱり尚宮は女官の憧れだね!

なつき

いえ、女官の本当の憧れは、実は「王妃」らしいわ。

はると

えっ!?元々卑しい身分でも王妃になれるの?

なつき

そうよ。これは本当に例外なんだけど、女官から王妃になったケースもあるの。有名な出世ドラマで言えば、やはり『トンイ』よね。

なつき

トンイもそうだったけど、王様の寵愛を受けると一気に出世できるのよ。そうした女官はまず『承恩(スンウン)』と呼ばれ、更に王様との間に子ができると、王様の寵愛の度合いに応じて『淑儀(スグイ)』から『貴人(クイイン)』に至る位が与えられたそう。

なつき

更にさらに、万一実子が第一王位継承者・王世子(ワンセジャ)にでもなったとすれば、『嬪(ビン)』まで上り詰めることもできたわ。歴史上、嬪から王妃になれる例もあったそうよ。

はると

そうなんだ!!

内命婦の品階(階級)

品階(ランク)呼称
王族※位なし大妃>王妃>王世子嬪(権力のある順番)
正一品嬪(ビン)
従一品貴人(クイイン)
正二品昭儀(ソイ)
従二品淑儀(スグイ)
正三品昭容(ソヨン)
従三品淑容(スヨン)
正四品昭媛(ソグオン)
従四品淑媛(スグオン)
正五品尚宮

女官(尚宮/内人)の部署と仕事内容

尚宮の等級と役割

等級役割
提調尚宮(チェジョサングン)最も位が高い尚宮。数百人の内人を統括。
侍命尚宮(テミヨンサングン)王様の側に片時も離れずに付き添う係。
保姆尚宮(ボモサングン)王子、王女の養育を一手に引き受ける係。
侍女尚宮(シニョサングン)宮中の宴を担当。また王妃の特使として王妃の実家に通うことも。

内人の部署と仕事

担当名内容
至密(チミル)王族の寝室を担当。王様の身の回りの世話を取り仕切り、内人の中で最も地位が高い。
至密は見聞きしたことは一切漏らさないという意味。
繍房(スバン)刺繍を担当。
王様の礼服や寝具、屏風などに施す刺繍全般。
針房(チムバン)針仕事を担当。
針母たちが、王宮で使われる王様や王妃の衣服、寝具などの裁縫。
洗水間(セスガン)手洗いや沐浴を担当。
木製のたらいで沐浴できるようにしたり、痰つぼや便器などの掃除。
焼厨房(シジュバン)料理を担当。別名:内厨房(ネジュバン)
王様の日常食を調理するところで、チャングムが務めていたところ。
成果房(セングアバン)飲料水や菓子などを担当。
生果、煎果、茶食、粥などを作る仕事。
洗踏房(セタブバン)洗濯を担当。
大殿(テジョン)の洗濯や布地の染色をする仕事。
僕伊處(ボギチヨ)主に内殿の寝室に灯りをつけたり、煙管、灰皿などを掃除。
退膳間(テソンガン)朝鮮王朝時代に水刺床(スラサン/王の食膳)を整えたり、下げるところ。

【朝鮮王朝】女官の生活や暮らしぶり

はると

女官の階級や仕事についてはよく分かったけど、どういった暮らしぶりだったの?

なつき

まず、女官は正式な内人になるまでは先輩の尚宮の部屋で訓練を受けるんだけど、正式の内人になると気の合う同僚と一緒に住んでたんだよ。

はると

同じ年頃で集まってなんだか楽しそうだね!

なつき

そうね♪でも、女官は生涯独身を貫かないといけないの。

はると

生涯独身!?!?

なつき

うん、王宮にいる女性は全て王様のものだから、宦官(去勢された男性)以外の男性とは絶対に接触を許されなかったんだ。

はると

そうなんだ…この時代の女性は大変だね…

なつき

本当にそうよね…。ちなみに、勤務については至密(チミル)以外は隔日制で、王族の身辺を世話する至密は昼夜2交代制で対応してたみたい。

はると

ドラマを見ていると、ずーっと働いている印象があるけど、しっかり休みはあるんだね。

なつき

もちろん♪休みの日は、他の部署に遊びに行ったり、教養を磨いたり、宮体(クンチェ)という宮中独特のハングル書芸を練習したりしていたんだって。

豆知識②女官の最期
宮中では、王様とその直系家族以外のものが死を迎えることは絶対に許されなかったわ。だから、女官は死が迫ると、生きているうちに王宮を出されるルールだったの。
「女官は生涯独身」ってさっき言ったけど当然実子なんていないから、親戚から養子を貰ってその日に備えたんだよ。勿論、突然亡くなってしまうこともあって、その場合は密かに宮中から運び出されたみたい…

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