・師任堂ってどんな人だったの?
・どうして韓国の紙幣に選ばれたの?
・ドラマではどんな風に描かれているの?

こんな疑問に答えていくよ!
朝鮮時代の女流書画家で、良妻賢母の象徴としても名高い師任堂。
韓国の最高額紙幣である5万ウォン札の肖像に選ばれたり、2017年放送のドラマ『師任堂(サイムダン)、色の日記』では、国内外を問わず反響を呼び再注目されました。
そこで今回は、「シンサイムダン(申師任堂)ドラマで一躍有名に!韓国の紙幣になった女性」と題し、詳しくご紹介していきます。
シンサイムダン(申師任堂)のプロフィール
名前 | 申師任堂(シン・サイムダン) |
生没年 | 1504〜1551年 |
職業 | 女流書画家 |
父 | 申命和(シン・ミョンファ) |
母 | 李思温(イ・サオン) |
子 | 4男3女 |
略年表
1504年 | 申命和と李思温の次女として生まれる。 |
1522年 | 19歳で李元秀(イ・ウォンス)と結婚する。 |
1536年 | 三男の李珥(イイ)/ 栗谷(ユルゴク)を出産する。 |
1541年 | 夫の実家がある漢陽寿進坊(ハニャンスジンバン)に転居する。 |
1551年 | 三清洞に転居する。同年、夫の転勤に伴い平安道へ移った後、急死する。 |
17世紀 | 宋時烈(ソン・シヨル)が李珥を生んだ偉大な母親と称賛する。 |
分かりやすく解説



申命和と李思温の次女として生まれ、母親の実家がある江陵北坪村烏竹軒(カンヌンプクピョンチョンオジュッコン)で育ったわ。「師任堂」は号で、「太任(たいにん:古代中国の周の文王の母)を師として見習う」という意味が込められているそうよ。本名は分かっていないんだって(申仁善〈シン・インソン〉とする説もあり)。



師任堂は本名ではないんだね。



ええ。師任堂は19歳で結婚したんだけど、男兄弟がいなかったから結婚後も実家で暮らし、38歳の時に夫の実家がある漢陽寿進坊に越したそうよ。その10年後、夫の転勤に伴って平安道へ移った矢先、病気で亡くなってしまうの。



そうだったんだ。



幼い頃から絵画と詩歌の才能を発揮し、7歳の時には朝鮮初期最高の画家・安堅(アンギョン)の山水画に心惹かれて模写していたらしいわ。山水や植物、昆虫、動物などを好んで描いていて、8幅の屏風にそれぞれ異なる植物と虫を描いた「草虫図」は彼女の代表作よ!



自然を好んで描いていたんだね!7歳で最高峰の画家の模写とは…すごい才能だ!



夫との間には4男3女をもうけ、三男の李珥(栗谷)は当代最高の儒学者・政治家に成長したわ。長女・梅窓(メチャン)は芸術的才能を受け継ぎ、“小さい師任堂”と呼ばれたそうよ。



子どもたちも立派に成長したんだね!



師任堂の死後、17世紀中頃になって宋時烈が李珥を生んだ偉大な母親と称賛したことから良妻賢母のイメージが強くなったの!
韓国の紙幣に選ばれたワケ





韓国には、1000、5000、1万、5万ウォンの4種類の紙幣があるんだけど、このうち2つを李珥(5000ウォン)と師任堂(5万ウォン)の親子が占めているのよ。



どうして師任堂親子は紙幣に選ばれたの?



息子の李珥は「韓国儒学の父」と称され師任堂よりも早くお札に採用されていたわ。母である師任堂は、朴正煕政権時代に国威発揚の一貫として過去の偉人を掘りおこす作業の中で、世宗大王や李舜臣とともに選ばれたの。



そもそも5万ウォン札ができたのは2009年なんだけど、男女平等の観点でまず女性が選ばれることが決まったの。



ふむふむ。



独立運動家など他の著名人が候補として上がる中で、最終的に良妻賢母の鏡であった師任堂が選ばれたのよ。



そうだったんだね!



でも満場一致で賛成されたわけではなく、「良妻賢母」は旧時代的な女性の象徴だとして女性団体からは反対の声も上がったんだって。



確かに。今の時代と一昔前のイメージって結構違ってくるからね。誰が選ばれたにしろ、どこかしらで反対の声が上がるんだろうけどね…。個人的には紙幣で親子共演って何か夢があっていいなって思っちゃう!
シンサイムダン(申師任堂)の登場する主な作品
ドラマ名 | 役者名 |
師任堂、色の日記(17) | イ・ヨンエ |



これまで、師任堂といえば李珥の母親、良妻賢母っていうイメージが強かったんだけど、ドラマ『師任堂、色の日記』で芸術家兼自立した女性として再評価されたのよ。ちなみに、この作品で『チャングム』以来、13年ぶりのドラマ復帰を果たしたイ・ヨンエが主人公の師任堂を演じているわ。



そうだったんだ!息子の方が有名だったんだね。



作中では、名家の娘として田舎でのびのび育った師任堂が、初恋の相手との悲しい別れを経て、妻として、母として、芸術家としてたくましく生きる姿が描かれているわ。



確か、現代と過去が交差する話だよね!そういうの好きなんだ!



科挙に落ち続ける夫を奮い立たせるために山寺に送ったり、側女にうつつを抜かす夫に苦労したりと史実に基づくエピソードも随所に散りばめられているのよ!