韓国時代劇を見ていると、世子(セジャ)や大妃(テビ)、貴人(クィイン)など、現代では使わない呼び方が数多く登場します。このページでは、王位継承、王族女性、側室の品階、三国時代の称号に分けて、人物関係を理解するための基本用語をまとめました。
王位継承に関する用語
元子(ウォンジャ)
王の息子のうち、正式に世子へ冊封される前の後継候補を指す呼び方です。多くの場合は嫡長子ですが、元子と呼ばれた段階では王位継承者としての地位が確定していない点が世子との違いです。
世子(セジャ)
王世子(ワンセジャ)の略称で、正式に定められた王位継承者です。ドラマでは「邸下(チョハ)」という敬称で呼ばれます。世子の教育や婚姻は王朝の将来に関わるため、政争の中心になりやすい立場です。
世子嬪(セジャビン)
世子の正室です。嬪宮(ピングン)という敬称で呼ばれることもあります。将来の王妃候補として、本人だけでなく実家の家柄や政治勢力も物語に大きく関わります。
世孫(セソン)
王世孫(ワンセソン)の略称です。王の孫が王位継承者として冊封された場合に使われます。父である世子が先に亡くなった場合など、祖父の王から孫へ王位をつなぐ局面で登場します。
上王(サンワン)
存命中に王位を譲った前王の称号です。退位後も現王を後見したり、実権を握り続けたりする場合があるため、「王が二人いる」ような緊張関係が描かれることがあります。
大君(テグン)
朝鮮王朝で、王と正室である王妃の間に生まれた息子に与えられる称号です。王の側室から生まれた息子は君(グン)と呼ばれます。大君であっても、必ず世子になるとは限りません。
大院君(テウォングン)
自身は王位に就かなかったものの、息子が王になった父親に与えられる尊称です。代表例は高宗の父・興宣大院君で、ドラマでは王の父として強い政治力を持つ人物として描かれることがあります。
王妃・王女に関する用語
大妃(テビ)
先王の王妃に対する称号です。現王の母にあたる場合が多いものの、実母とは限りません。王室の年長者として後宮を統率し、幼い王が即位したときには政治へ大きな影響を及ぼすこともあります。
大王大妃(テワンテビ)
王室に存命する先代王妃のうち、最も上の世代に位置する女性の称号です。現王の祖母世代にあたることが多く、王室内で高い権威を持ちます。垂簾聴政によって若い王を補佐する場面も時代劇の重要な題材です。
公主(コンジュ)と翁主(オンジュ)
公主は王と王妃の娘、翁主は王と側室の娘を指します。どちらも王女ですが、母親の身分によって称号が分かれます。婚姻相手の家門が王室と結び付くため、王女の結婚も政治と無関係ではありません。
宮主(クンジュ)
主に高麗時代に使われた王族女性の称号です。時期によって対象や序列が異なり、王女や王の側室を指す場合があります。朝鮮王朝の公主・翁主とは制度が異なるため、作品の時代設定とあわせて見る必要があります。
王の側室と内命婦の品階
朝鮮王朝の後宮では、王の側室に正一品から従四品までの品階が定められていました。字幕で称号が変わったときは、寵愛だけでなく正式な昇格が行われたことを示します。
| 品階 | 称号 | 読み方 |
|---|---|---|
| 正一品 | 嬪 | ピン |
| 従一品 | 貴人 | クィイン |
| 正二品 | 昭儀 | ソイ |
| 従二品 | 淑儀 | スギ |
| 正三品 | 昭容 | ソヨン |
| 従三品 | 淑容 | スギョン |
| 正四品 | 昭媛 | ソウォン |
| 従四品 | 淑媛 | スグォン |
たとえば『トンイ』では、主人公が淑媛から淑儀、さらに淑嬪へ進むため、称号を見るだけでも宮中での立場の変化が分かります。なお「嬪」は品階名であり、世子の正室を表す世子嬪とは意味が異なります。
三国時代・高麗で登場する用語
居西干(コソガン)
初期新羅の王号です。『三国史記』では初代・赫居世だけに使われた称号として記録されています。後の「王」と同じ制度が最初から整っていたわけではなく、初期国家の首長を表す呼び方として理解すると分かりやすいでしょう。
尼師今(イサグム)
初期新羅で使われた王号の一つです。『三国史記』では第3代・儒理から第18代・実聖までの王に用いられました。朴・昔・金の有力氏族が王位を担った時代を理解する手掛かりになります。
骨品(コルプム)
新羅の世襲的な身分制度です。聖骨・真骨と、六頭品から一頭品までの頭品で構成され、就ける官職の上限、婚姻、服装などに影響しました。人物の能力だけでは越えられない身分差として、善徳女王や花郎を扱う作品で重要になります。
於羅瑕(オラハ)
百済の王を表す称号です。中国の史書『周書』には、支配層が王を於羅瑕と呼び、民は鞬吉支(コンギルチ)と呼んだという記録があります。以前の個別ページにあった「支配層そのもの」という説明を改めました。
妓生(キーセン)
宮中や官庁の宴などで歌、舞踊、楽器、詩文を披露した女性たちです。作品によっては芸能だけでなく、情報収集や人間関係の仲介役として描かれます。詳しくはキーセンの歴史と暮らしと実在した妓生・ファンジニもご覧ください。
用語を知ると楽しみやすい韓国時代劇
- 『トンイ』のキャスト・人物関係:側室の品階、王妃、大妃の関係が分かりやすい作品です。
- 『イ・サン』のキャスト・人物関係:世子、世孫、英祖と正祖の王位継承が物語の軸になります。
- 『六龍が飛ぶ』のキャスト・人物関係:高麗末から朝鮮建国へ制度が変化する過程を追えます。
- 朝鮮王朝歴代王27人一覧:王の順番と時代背景をまとめて確認できます。
よくある疑問
元子と世子の違いは?
元子は正式な冊封前の後継候補、世子は正式に冊封された王位継承者です。元子が必ず世子になれるとは限らず、この移行をめぐって政争が起きる作品もあります。
公主と翁主はどちらも王女?
どちらも王の娘です。王妃から生まれた娘が公主、側室から生まれた娘が翁主と呼ばれます。
大妃は王の実母?
実母の場合もありますが、必ずしもそうではありません。王位継承や養子関係によって、先王の王妃が現王の法的な母・年長者として大妃になる場合があります。
